じぇにんです。
椎名林檎さんのセルフカバーアルバム第2弾を購入しました!
その名も「逆輸入 ~航空局~」。
さっそくですが、アルバムを聴いてみての感想を書きます。
よろしければ、おつきあいください!
- アルバム全体の感想
- 1.人生は夢だらけ
- 2.おいしい季節
- 3.少女ロボット
- 4.暗夜の心中立て
- 5.薄ら氷心中
- 6.重金属製の女
- 7.おとなの掟
- 8.名うての泥棒猫
- 9.華麗なる逆襲
- 10.野生の同盟
- 11.最果てが見たい
- さいごに
アルバム全体の感想
「オリジナルアルバムに匹敵する、飽きの来ない名盤」。
この1枚については自信を持って、そうオススメできます!
心から、みんなに聴いて欲しい。
今作は、様々なアーティストに提供した楽曲を集めたセルフカバーアルバム。
名曲が揃ってはいるが、アルバムとしてどのような1枚になるのか。
購入前は、雰囲気がイマイチ想像できずにいました。
前作「逆輸入 ~港湾局~」は全曲アレンジャーが異なり、
非常に多彩な顔を見せてくれました。
1曲1曲はすごくよかったのですが、
正直アルバムとしての流れはあまりしっくり来るものではなかった。
しかし、今回はそんなことありません!
アルバムとして意味のあるアレンジ・曲順。
まるでこの1枚を作るために書かれたの如く、違和感なくスッと入ってくる全11曲。
ただのセルフカバーアルバムでは終わらない、素敵な作品に仕上がっています。
ここからは、曲ごとに感想を。
1.人生は夢だらけ
提供アーティスト:高畑充希
編曲:村田陽一
かんぽ生命「人生は、夢だらけ。」のCM曲として制作された曲。
歌詞を大幅に変更、メロディも新たに追加されたフルバージョンとなっています。
原曲を歌う高畑充希さんは、とても上手で、柔らかく明るい歌声が素晴らしい。
純朴さが光る、素敵なCM作品になっていたと思います。
今作の「人生は夢だらけ」は、とにかく歌詞がいい。
どのフレーズもいいんですが、特に終盤の
近寄れば悲しく離れれば楽しく見えてくるでしょう
それは人生 私の人生 誰の物でもない
奪われるものか 私は自由 この人生は夢だらけ
がすごく好き。
人の人生って遠くから見てると楽しそうで華やか。
でも実際はみんな歯を食いしばって生きているわけです。
それは自分も一緒で。
自分の人生も俯瞰で見れば、楽しいものに見えてくる。
意外と悲しいことばかりでなくて。
自分の人生は、自分しか楽しめないんですよね。
林檎さんが歌うと、「人生」というものの説得力を感じます。
1つ(あるいは複数)の人生を魅せてくれるような、
ミュージカル調のアレンジに心を揺さぶられます。
曲調は明るいのに、どこか切ないところがたまらなく愛おしい。

2.おいしい季節
提供アーティスト:栗山千明
編曲:椎名林檎
弦編曲:斎藤ネコ
歌詞が激かわいい曲。
歌詞カードを見てもらえればわかるんですが、すごくよくできてます。
「I SCREAM」「ICECREAM」「時間が溶けてなくなるよ」
あたりとか、読んでて(ほう…)ってなる。
冒頭のピチカートも、とってもかわいいアレンジだと思う。
かわいさ、弦、ロックの共存て、林檎さんにしかできない気がしますよね。
ほっこり温かい気持ちになる曲です。
3.少女ロボット
提供アーティスト:ともさかりえ
編曲:村田陽一
めちゃくちゃ意外なアレンジでした。
なんせ、あの印象的なフレーズたちがひとつも入ってない。
歌メロは一緒だけど。
最初はビックリしましたが、このアレンジの曲を置くことで、
アルバム冒頭から中盤へかけての流れを整えてる感じがします。
箸休めみたいな。
聞こえは悪いかもしれませんが、箸休めってすごく重要だと思う。
焼き物や煮物ばっかりだと飽きちゃいますからね。
ファンにとっては思い出深い曲。
みなさんはこのアレンジ、どう感じたでしょうか。
4.暗夜の心中立て
提供アーティスト:石川さゆり
編曲:村田陽一
大人しめな「少女ロボット」からの、
ダイナミックなブラス始まりが最高にテンション上がります。
原曲よりもキーが上がっていて、
林檎さんの歌い方がずっと脳内再生してきたものと全然違った…!
後半の感じは予想通りでしたが…
林檎さんて歌い方の表現の幅も広いんだなって、改めて実感。
この曲は渋いかっこよさが、たまらんですね。
こういう「和+ジャズ」みたいなのって、すっかり林檎さんの武器だよなあ。
5.薄ら氷心中
提供アーティスト:林原めぐみ
編曲:斎藤ネコ
TVアニメ「昭和元禄落語心中」のOPテーマ曲として提供されました。
原曲はアコーディオンなんかが入ってて、昭和っぽい雰囲気が出ていましたね。
林原さんの柔らかい歌声は、作品に合っていたと思います。
今バージョンは、テンポアップとブラス中心のアレンジによって、
アグレッシブさが増しています。
正直、林原さんもよかったですが…やっぱりこの歌声と歌い方で聴きたかった!
もう最高よ。しっくり来すぎてます。
6.重金属製の女
提供アーティスト:苺イチエ(深津絵里)
編曲:名越由貴夫
NODA・MAP第17回公演「エッグ」の劇中歌として提供された曲です。
正直まったく知らなかった…汗
原曲は日本語詞だったようです。
しかし、すごいタイトルですよね(笑)
ロックなアレンジ。
タブラやシタールが使われていて、ただのロックで終わらないアクセントに。
「神様、仏様」でも使われてましたが、
タブラってゴリゴリのロックギターと相性いいんですね。すごくいい音。
※タブラ・・・北インドの太鼓の一種。
7.おとなの掟
提供アーティスト:Doughnuts Hole
編曲:斎藤ネコ・椎名林檎
TVドラマ「カルテット」のために書き下ろされた曲。
出演者である、松たか子・満島ひかり・高橋一生・松田龍平(敬称略)の
4人が歌っています。
正直、この曲のために買ってもいいレベルで極上。アレンジがもう。最高。
弦楽器の美味しいところが贅沢に詰まっています。
本アルバムのメインディッシュを担う曲になっていると思います。
原曲は4人の歌声にスポットを当てていましたが、
今回は林檎さんの歌声も楽器のひとつとなっているようなアレンジ。
3rdアルバム「加爾基 精液 栗ノ花」を初めて聴いた時のような、
震える感情が瞬時に蘇りました。ゾクゾク。
歌詞はもともと日本語だったものが、英語に変更されています。
Mステで観た時は、日本語詞の方がよかったなあ…なんて思いましたが、
CDで改めてちゃんと聴いたら、そんなの吹き飛びましたね。
英語だけど、語感やリズムは崩さずに構成されているので、変な違和感がない。
超名曲だと思います。
8.名うての泥棒猫
提供アーティスト:石川さゆり
編曲:村田陽一
クラビネットとギターのチャカポコサウンドが軽快で、好きだなあ。
この歌い方する林檎さん好き。
アレンジなんかはもちろん違うけど、
初期を連想させるような歌メロですよね。
根本は変わってないんだなっていう、安心感みたいなものがある。
最後の転調するサビがめちゃテンション上がる。
そして「アー」の吐息ね。好き。
9.華麗なる逆襲
提供アーティスト:SMAP
編曲:村田陽一
あのSMAPへの提供曲ですよ。
すごくSMAPのこと考えて作ったんだなあって感じる。
歌詞にも彼らの要素が散りばめられてます。
解散してしまった今聴くと、なんだか切ないですね。。。
これは、提供の話がなかったら絶対できなかったタイプの曲だと思う。
サビの爽やか且つ滑らかな歌メロとか。
英語で歌ってるのもいいですね。これは正解だったと思う。
すごく耳触りがいいです。
10.野生の同盟
提供アーティスト:柴咲コウ
編曲:名越由貴夫
原曲よりも、本アレンジの方が圧倒的好みです。
ギターの音がめちゃくちゃいい。
乾いたようで潤いのあるサウンドといえばいいのか。
アウトロのエモさを、体全身で感じて欲しい。
「華麗なる逆襲」と野生というワードで繋がってるいますが、
この曲順はその辺も考えたんでしょうかね。
サビの転調で感じる違和感がいいですね。
歌うのめちゃくちゃ難しそうですが…!
11.最果てが見たい
提供アーティスト:石川さゆり
編曲:朝川朋之
「野生の同盟」のノイジーなギターそのままに、美しいハープがIN。
なんやこれ!? 始まり方最高すぎるやろ!
対照的な音が混在・共存する美しさ。
歌・ギター・ハープというシンプルな構成なのに、
全体で聴かせるのが、なんというか天才的なアレンジだと思う。
そして、なんだろう。
この曲聴いてると、現状・椎名林檎の集大成な印象も受ける。
何かノスタルジックなんですよ。サウンドが。
昔好きだった椎名林檎像と、現代を生き、進化を続ける椎名林檎が重なった感じ。
好きになった当時の感情と、今の僕の感情もリンクして、
聴き終わった後、余韻の心地よさがハンパない。
…なんといえばいいか、うまく伝えられないけど、そんな曲。
名盤の終わりにピッタリな曲だなって思います。
さいごに
こんなに心地いいアルバム久しぶりかもしれない。
音のひとつひとつが、僕の血となり肉となるのを実感できる作品でした。
「なんだセルフカバー曲集めただけのアルバムか」と思ってる人がいたら、
ぜひ1度聴いてみて欲しいです。いつの間にか44分経ってます。
林檎さんをあまり知らない人も楽しめるものになっています!
ぜひぜひ聴いてみてください!
それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!