どうも、じぇにんです。
ラ・ラ・ランドはいいぞ。アカデミー賞6冠おめでとう!
話題作「ラ・ラ・ランド」を観てきました!
この映画をひとことで表現するのは難しいですが、表すとするならば「夢と現実がぶつかりあうミュージカル映画」でしょうか。
ミュージカル映画と聞いて、はじめは「マンマ・ミーア」や「ヘアスプレー」、「ハイスクール・ミュージカル」などの作品が思い浮かんだのですが、本作はそれらとはまた一線を画したものになっていました。
ミュージカルといえば、夢のような世界が強く表現され、その割合が多いように感じます。しかし本作は、現実で味わう挫折・葛藤・恋愛などがリアルに表現されていて、夢と現実が絶妙なバランスで混ざり合っていました。少しでもさじ加減を間違えれば、すべてが崩れてしまうような、繊細なバランス。
そんなところが、他のミュージカル映画とは違っていて、本作の大きな魅力のひとつになっていると思います。
ミュージカル映画に飽きてしまった…みたいな方にも、強くおすすめできる作品になっているので、まだ観ていない方は、是非観てみてください!
さて、ラ・ラ・ランドで得た、この興奮が冷めないうちに、感想をつらつらと書いていきたいと思います。
前半はネタバレなしですが、後半にはすべてをぶつけていこうと思いますので、ご注意ください。
未見の方は、目次も見ない方がいいかもしれません…!
- 最高のキャティング
- 素晴らしい楽曲たち
- こだわりを感じる衣装・セット
- オープニングの渋滞シーン
- ミアがオーディションを受けるシーン
- 映画館で2人の手が触れ合うシーン
- 2人が喧嘩するシーン
- セブが「Mia & Sebastian's Theme」を弾くシーン
- ラストの回想(夢)シーン
- ラスト、2人が見つめ合うシーン
- さいごに
最高のキャティング
本作の主人公である、セブとミアの2人を演じた、ライアン・ゴズリングとエマ・ストーン。本当に素晴らしかったです。
ライアン演じるセブは、ジャズに対してはすごくこだわりを持っていて、偏屈で繊細。でも愛する人に対しては、とても紳士的で優しさに満ちあふれていました。ピアノを弾いているシーン、恋に落ちていくシーンの表情は、本当にグッと来ます。
ライアンでなければ、あの不器用さ、そして包み込むような優しさは表現できなかったでしょう。シルエットもいい。
そして、エマが演じるミア。もう最高としか言いようがない。
どの表情も綺麗なんだけど、それだけじゃないんです。自分が置かれている環境への想い、夢に対する憧れ・葛藤、セブとの出会いや恋愛…すべての感情や思いが、リアルさを持って表現されていました。醜さ・汚さを含んだ表情や表現に、説得力を感じましたし、そこに美しさがありました。
この映画、夢だけじゃないんです! 現実的な部分もしっかりと語られているんです! 夢と現実のぶつかりあいなんです! エマは、それを象徴するかのような存在でした。本当にピッタリなキャスティング。彼女なくしては、本当の意味での完成はなかったでしょう。
それと、ほとんど出てきませんが、J・K・シモンズの存在感も素晴らしかった。ネタバレになるので言えませんが、重要な役割を担っていました。本当に彼でよかったなという配役だと思います。本作の監督であるデミアン・チャゼルの前作「セッション」でも、シモンズはとても素晴らしい演技をしていました。存在感の理由には、そのイメージも関係しているかもしれませんが…。正直シモンズに「こっちへ来い」と指クイされたら、オシッコちびる自信ある…(笑)
ちなみに、当初は主人公2人を、マイルズ・テラーとエマ・ワトソンが演じる予定だったそうです。そうなっていたら、全然違う印象の映画になったでしょうね。どちらも優れた俳優さんですし、好きな2人ですが。
それでも「ラ・ラ・ランド」は、ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンの2人が、最高のキャティングだったなと感じています。
素晴らしい楽曲たち
ミュージカル映画なので、ここがダメだったら終わってるだろという感じもありますが…(笑)
ラ・ラ・ランド、しっかり音楽も素晴らしかったです!
オープニングテーマである「Another day of sun」は、ジャズの要素を根底に感じさせつつ、しっかりミュージカルもしていて最高です。映画を観てからこれがずっと脳内されてます!
僕がこの映画で最も好きになった曲はこちら。
優しさや愛、そして切なさなどがたっぷり詰まった曲。すごく心地いい曲だけど、同時に感情も揺さぶられます。本作を観た人は僕と同じように、この曲に思い入れがある人が多いのではないでしょうか。
映画の音楽というのは、観る前後で違って聴こえてくるものだと思います。ラ・ラ・ランドの楽曲たちも、本当にそうで。紹介した2曲は特に、曲の聴こえ方や感じ方が変わると思います。同じ1曲で色々な愉しみ方ができるなんて、本当に素晴らしい。
こだわりを感じる衣装・セット
本作の特徴として、衣装やセットの素晴らしさも挙げられるかと思います。監督やスタッフの細部までのこだわりを、ひしひしと感じました!
一番目を引くのが、ミアの衣装。
デザインもオシャレですし、とってもキュートですよね。現代社会と少しかけ離れたテクニカラーさが、夢と現実の絶妙なバランスを演出しているように思います。それに、ハリウッド女優を目指すミアに、ぴったりの衣装ですよね。
こちらは歌のパートなのですが、こういった場面でミアが「青を着ている」というところに、非常に重要な意味やこだわりを感じます。主人公なら普通、赤や黄色を着るんじゃないかなあと。ところがその色は、ミアの役者仲間が着てしまっている。衣装の色だけ取っても、ストーリー性やメッセージを感じますよね。
この他にも随所で、衣装やセットを見て「なるほど」と感じさせられる場面が多々ありました。個人的には、特に「配色」へのこだわりを感じました!
スタッフの熱量すら伝わってくる作品。本当に出会えてよかったです!
ラ・ラ・ランド予告
ここからはネタバレしまくりなので、ご注意!
ここからは、印象に残ったシーン・好きなシーンを中心に、振り返っていきたいと思います。
オープニングの渋滞シーン
現実を象徴する渋滞のシーンから、歌やダンスをする夢のシーンへと切り替わるところがハッとさせられて、たまりませんでした。
渋滞の中、車中で苛立つ人たちは皆、夢追い人。歌手・役者・ダンサー…それぞれ希望を持ってエンターテインメントの街・ロサンゼルスを目指します。
テーマ曲「Another day of sun」を歌って踊る華やかなシーンは圧巻でした。そして「これは夢追い人たちのお話なんだ」と印象付けてくれたのも、素晴らしかったなと思います。ミュージカルってホント素敵。とても優れた表現方法ですよね。
このシーンの配色も好きです。それぞれの夢を持った人たちがたくさん。みんな、どの個性も消えていませんよね。希望に満ち溢れていて、オープニングにぴったりです。
ミアがオーディションを受けるシーン
ミアがオーディションを受ける度、観ているこっちまで緊張してしまいました(笑) 個人的な話ですが、僕もこういったオーディションを何度も受けたことがあるので、他人事とは思えなかった…!
部屋に入ると、審査員がスマホを触りだしたり、プロフィール用紙を読んでいたり。緊張感漂う空気が伝わってきて、こちらも吐きそうな勢いに。そして終いにはミアの演技中に、審査員が電話し始めるっていう。。。リアル感半端ないなというシーンでした。
調べてみたらこのシーンは、デミアン監督やライアンの実体験を取り入れているそうで。いやあ…説得力がすごかったです…(笑)
同じオーディションでも、映画の終盤で受けるシーンはとても感動的でしたね。ありのままで挑戦するミア。どんな華やかな衣装で挑む彼女よりも、美しく感じました。着飾らず、自分の言葉で話し始め、そして歌へと昇華していく感じ。
あそこで歌ってのが、ホントずるいなあと! 感情の伝わり方がハンパない。エマ・ストーン、ブラボーですわ! 歌の最中にあれだけの感情表現ができるのも、ミュージカルならではという感じですよね。素晴らしい。
あと、合格するオーディションて、ああいう空気感なんですよね。審査員の雰囲気もすごくよく表現されていたと思います。柔らかい空気みたいな。
こんなん泣きますわ…
映画館で2人の手が触れ合うシーン
すごくドキドキした。なんていうか、初恋とか付き合う直前のドキドキ感を思い出しました。
映画館てのがまた、たまんないですよね。大勢の人と一緒にいるんだけど、2人だけの空間というか。ジリジリと、だんだん手を近づけていく描写にキュンキュンしました。
ミアに振られた男については…残念だったねとしか言いようがないですが…。
2人が喧嘩するシーン
2人の夢に対する葛藤が、露わになったシーン。夢と現実の食い違いについてぶつかりあいます。感情が揺さぶられました。どちらの気持ちも痛いほどわかります。
そして、その時の部屋の照明。幻想的な配色になっていました。話している内容とのチグハグさが、夢と現実に対する2人の気持ちを表現しているようで、グッと来ました。
セブが「Mia & Sebastian's Theme」を弾くシーン
出会いと再会。どちらもラ・ラ・ランド屈指の名シーンですよね。
同じ曲なのに、聴こえ方が全然違う…。
2人が出会った時はすごく心地がよくて、ドキドキや素敵な出会いを予感させる曲だったのに。ラストで2人が再会したシーンでは、セブの温かみや優しさは残しつつも、やっぱりどこか物悲しく切ない曲に聴こえます。
後からこの曲のタイトルが「Mia & Sebastian’s Theme」だと知って、また泣きそうになりましたよ…。ああ…本当に切ない。
ステージ上で観客席にミアがいると気づいてから、セブがこの曲を弾き始めるまでの間がすごくいい。あの間が。観てる時、絶対あの曲弾くんだろうなって思いましたけど、実際にセブが弾き始めたらもう涙腺が崩壊でした。
温かくて切なくて…本当にいいシーンだと思います。
余談ですがセブのお店、名前が「SEB'S」でしたね。ミアを想ってきっとそうしたんだろうなと思うと、本当に…。
ラストの回想(夢)シーン
もうこの映画のすべてが、このシーンのためにあったと言っても過言ではないでしょう。素晴らしすぎる。そして切なすぎる。
色々な解釈があるかとは思うのですが、夢と理想が入り交じった回想シーンは、あの空間で2人が共有し、想いあったものなんじゃないかと思っています。
2人を夢の世界へと誘うJ・K・シモンズ。これは夢なんだと気づかせてくれる、重要な役割のひとつですね。
回想シーンが明るくて、希望に満ちていればいるほど、切なくて悲しくて苦しくて。シーンに対して、真逆の感情が生まれるなんて、すごく不思議な感覚です。正直このシーンは、涙が止まりませんでした。
お互いに夢は叶ったけど、ついに2人が結ばれることは叶いませんでした。でもそれは、2人が選んだ道であって。誰かが、何かが悪いなんていうことはありません。夢を追う、叶えるって、何もかもが報われるとは限らないのかもしれませんね。
夢と現実のぶつかりあいを、強く感じたシーンでした。
ラスト、2人が見つめ合うシーン
セブのピアノ演奏が終わり、店を出ようとするミア。しかし、思いとどまってステージ上のセブを見つめます。目が合う2人。
この時の2人の笑顔が、すごくいい表情で。切ないけど、温かい気持ちにさせられました。あの頷きだけで、お互いにたくさんのメッセージや想いを送り合っているような。
「久しぶり」
「元気そうでよかった」
「夢が叶ってよかったね」
「おめでとう」
「またどこかで」
短時間にものすごい情報量を感じました。役者も演出も脚本も素晴らしいと感じた瞬間でした。
さいごに
映画「ラ・ラ・ランド」。
久しぶりに感情を激しく揺さぶられた映画でした。夢を追う人、かつて追っていた人には、特に刺さる作品なんじゃないかと。
未見の方はもちろん、もうすでに観たという方でも楽しめるように、随所にこだわりが散りばめられた作品だと思います。まだの方は、是非観てみてください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!